テレワークのその先
新型コロナウィルスの流行をきっかけとしてテレワークへの注目が急速に高まっています。
多くの企業ではE-mailやチャットツール、ファイル共有サービス、ビデオ会議などの既存ツールを最大限に活用するという方法で、テレワークを推進していますが、この流れはこれから益々、その幅とスピードを増していくことでしょう。
この結果、これからさらに多くのビジネスコミュニケーションをリモートで行う試行錯誤が続いていくことになりますが、この流れの行き着く先にはどのような景色が広がっているでしょうか?
今、行われているテレワークは既存組織の枠組みの中で行われています。事務所で席を並べることを前提として作られた組織のメンバーがテレアークでメールのやり取りやビデオ会議をしています。通勤時間が無くなる分、従業員にとってはメリットが大きいですが、会社にとっては業務効率が落ちて悩ましいと感じているかもしれません。
一部の企業ではすでに通勤手当を廃止したり、固定席を無くすなどの動きが始まっています。これらの企業が次に気が付くのは、リアルな事務所での場の共有が組織作りの前提にならないということでしょう。
すると、組織の壁が徐々に取り除かれ、メンバーが自由に他のメンバーと協調作業をするオープンコラボレーションが進むことになります。このような環境では、組織を超えてアイデアが飛び交うようになり、企業は初めてテレワークの価値を認識できるようになります。
テレワークの動きは徐々に会社の枠を超え始めることになります。バーチャル環境でのみコミュニケーションをしているのですから、会社の内も外もありません。社外のメンバーとのオープンコラボレーションの段階です。
オープンイノベーションの取り組みは既に数年前から行われていますが、他企業とのコラボレーションや研究機関との産学連携がさらに促進されるでしょう。また、日本の企業では1980年前後に採用された多くのベテラン社員の定年退職が始まっておりますが、貴重な知識が失われることは企業にとっても大きな損失です。テレワークを活用した、ベテラン退職者の知識の再活用も検討されるはずです。
この流れのゴールには、組織の枠を超えて新しいアイデアを見つけ、課題を解決する企業のみがたどり着くことでしょう。
テレワークの課題
友人同士のカジュアルな会話は言葉のキャッチボール自体を楽しむため、情報の伝達効率や正確さはあまり重視されないかもしれません。カジュアルな会話には短い文章を手軽にやりとり出来ることに長けたチャットツールが適しています。このような会話ではやり取りが簡単にできて、頻度が多ければ多いほど利用者の満足感が大きくなりそうです。
一方、ビジネスシーンにおける会話は、より少ない頻度でいかに正確な情報を相手に伝えるかが重要です。メールやチャットを何回もやり取りするのは非効率ですし、不正確な内容が相手に伝わってしまってはビジネスとして成立しません。特に、会話を重ねながら複雑な意思決定を行う場合には、一つ一つのやり取りで一層、正確かつ効率的な情報伝達が求められます。
複雑な議論の末の意思決定は同じ部屋で机を並べて喧々諤々とした検討を重ねることによって成り立つと考えられているかもしれませんが、デジタルトランスフォーメーションを進め、どれだけのコミュニケーションをリモート環境で実現し、意思決定効率を高めるかがこれからの時代の取り組むべき課題と言えます。
文章によるコニュニケーション
コミュニケーションには口頭で行うものと文章で行うものがありますが、机を並べた環境では口頭でのコミュニケーションの比重が大きくなり、テレワークでのコミュニケーションでは文章によるコミュニケーションの比重が大きくなります。いずれの方法にも一長一短があります。口頭でのコミュニケーションは即応性が高く頻繁なやり取りによって意思伝達の精度を高めますが、複雑な情報を伝達することには向いていません。また、抽象的な情報を正確に伝えることも難しいと言えます。
一方、文章でのコミュニケーションは複雑な情報を一気に伝えることができますが、やり取りの頻度に限界があり、送り手と受けての読み書き力が不足すると誤解が生まれ、正確な情報が伝わらないリスクがあります。
では文章だけではビジネス上のコミュニケーションは成立しないのでしょうか。
会議は口頭での情報交換を前提に開かれますが、世界最大のオンラインショップであるAmazonでは、会議は事前に用意された1ページまたは6ページの文章を読むことから始まります。理想の会議は誰も話さずに合意が形成され終わる会議です。
良く練られた文章は口頭でのコミュニケーションに置き換わることができる可能性を示した例と言えるでしょう。
Amazonの文章では箇条書きも禁止されています。なぜなら箇条書きで書かれた文は、その行間を口頭で埋めることを意図して構成されていて、その文を読んだだけでは何を言っているのかわからなくなるためということです。
正確に伝わる短いビジネス文章を書くには、必要十分な文脈になるように文章を形式化することが有効です。
これによって内容を抜け漏れ誤解なく伝達することができます。
文章の形式化
ビジネスであろうと個人の行動であろうと、私たちが何らかの意思決定をする際に必要となる情報は、
のたった4項目に大別することができます。
意思決定プロセスの記述はこの4種類の文章の関係を記述しておけば良いのです。これ以外の情報はこの4種類の文章の付属情報ですので、コミュニケーションを円滑にする上では有用かもしれませんが、本質的には必要のない情報です。
ビジネス上の複雑なコミュニケーションと意思決定が求められる作業として広義の意味での設計作業があるでしょう。ここで言う設計作業とは商品の設計だけではなく、組織の設計、ルールの設計、プロセスの設計、ビジネスプランそのものの設計などビジネスのあらゆる局面に存在し、ビジネス上の意思決定と深く関わっています。
私たちは特にこのような設計作業プロセス上の意思決定に注目して、文章の形式化の方法の研究を続けています。
形式化された情報は、一回ごとのコミュニケーションの精度を高め、やり取りの頻度と手戻りを低減させ、結果として個々人が自分自身の仕事に集中する時間を増大させます。
設計プロセスの見える化
設計作業では意思決定の結果が最終的なドキュメントとしてまとめられるまでに様々な中間的な情報が作成されやり取りされています。これらの中間的な情報に対して検証と校正が繰り返されることによって最終的なドキュメントにまとめられる内容が決まります。
実のところ、設計作業中にやり取りされる中間情報は設計活動の賜物である試行錯誤の履歴などの最も豊かな内容を含みますが、最終ドキュメントがまとめられると忘れ去られ最終的には廃棄されます。
これらの設計中間情報を形式化して記録することで、
などに利用します。
ソフトウェア
私たちは、設計上の意思決定に関わる3種類の文章を関連付けながら記録、共有するソフトウェアを開発いたしました。
このソフトウェアは一般のチャットツールのようなユーザーインターフェースを持ち、思いついた言葉を瞬時に入力するできる一方、入力した文章の種別、関連付けを行うことで後から会話と会話の裏の意思決定のロジックの流れを追えるようになっています。
このソフトウェアを使うと今まで口頭で行っていたコミュニケーションの多くの部分を文章によるコミュニケーションに移行することができます。
このソフトウェアを設計作業に使用すると設計情報のやり取りを動的に関連を持たせながら記録・共有し、推敲を重ねながら高い精度の情報伝達と意思決定ができるようになります。
ソフトウェアが提供する文章の形式化は情報伝達のエラーを減少させ、作業の手戻りを防ぎます。
このソフトウェアはLinuxサーバー上で稼働するように開発されており、クラウドはもちろん、UbuntuやRed HatといったディストリビューションのLinux OSが稼働しているサーバーに移植しオンプレミス環境で利用することができます。
ソフトウェアの利用効果
下のグラフはあるソフトウェアの半年間の開発において、リモートで作業する設計者とソフトウェアエンジニアの間のコニュニケーションツールとして本ソフトウェアを利用した結果です。
この例では一般の自由書式のチャットツールを利用した場合と、本ソフトウェアを利用した場合の全開発工数に対する発生した手戻りへの対応工数の割合を示しています。
本ソフトウェアの利用開始後は、あまりにもコミュニケーションの精度が高くなったために、2−3ヶ月に一度、文章のやりとりでは非効率になる非常に複雑な仕様に対する認識合わせのためだけにミーティングが必要になりました。
クラウドサービス
本ソフトウェアを応用したオープンデザイン支援サービスをクラウド上で公開中です。
ソフトウェアおよびサービスの詳細な説明資料はこちらをご覧ください。
会社概要
モデリングテクノロジー株式会社
ご挨拶
設計プロセス上の意思決定の質を高める方法論とソフトウェアを開発するスタートアップです。
私たちは日々多くの意思決定を行いながら生活しています。その大部分は些細なことで、やり直しもできます。
しかしながら設計上の意思決定は、しばしば修正ができず、長期に渡って重大な影響を及ぼすことがあります。
弊社は設計活動における意思決定を支援する方法論とソフトウェアを提供することにより、些細なミスの防止はもちろん、重大な影響をもたらす意思決定プロセスを改善し、より良い世の中の実現を目指します。
方法論とソフトウェアを活用した、世の中の役に立つもの作りにもチャレンジしています。
所在地
東京都品川区上大崎3ー9ー11
資本金
300万円
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